「ウェブサイト構築するも大失敗」と自ら書く、明治創業の竹屋。高知・須崎の竹虎は、虎斑竹の山と職人の手仕事を動画にしている
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「1997年に
ウェブサイト構築するも
大失敗」。

 

会社のYouTubeチャンネルの
概要欄に、
自分たちでそう書いている
竹屋があります。

 

高知県須崎市安和の
「虎斑竹専門店 竹虎」です。

創業は明治27年(1894年)。

概要欄には
「100年続く老舗竹屋が
倒産の危機に直面」
という一文もあります。

 

その竹屋のチャンネルに、
2026年11月8日の時点で
1,787本の動画が並んでいます。

ここ1年ほどは、
週に5日を超えるペースで
新しい動画が出ていますね。

 

この記事では、
しゃかいか!(2015年)、
四国経済産業局の
四国びと(2018年)、
高知県の情報サイト
高知家の◯◯(2019年)の
記事と、
会社の公式サイト、
チャンネルの公開データから、
竹虎が動画を出すようになるまでを
たどってみます。

 

登録者数や本数は、
2026年11月8日
午前0時50分すぎに
当サイトが測った値です。

動画そのものは視聴しておらず、
題名と説明欄、
記事の記述をもとにしています。

 

なお、3つの記事は
どれも会社と四代目の話で、
YouTubeについては
触れていません。

須崎市安和の谷にしか育たない「虎斑竹」

竹虎が扱っているのは、
「虎斑竹(とらふだけ)」
という竹です。

 

しゃかいか!の
2015年の訪問記事によると、
表面に虎の模様のような柄が入る
ハチク(淡竹)の仲間で、
全国でも
安和の竹林にしかありません。

 

名付けたのは
植物学者の
牧野富太郎博士。

ほかの土地へ移す試みもあったものの、
虎のまだら模様は
きれいに再現できていない、
と記事は書いています。

 

模様の原因には
寄生菌のせいという学説もあるものの、
はっきりした理由は
分かっていないそうです。

イギリスのBBC放送が
取材に来て
「ミラクルバンブー」と
驚いたこともあったとか。

 

四国びとの取材に
四代目の山岸義浩さんは、
「全国でも
須崎市安和の
直径1.5キロメートル圏内にある
特定の竹林でしか育ちません」
と話しています。

かなり狭い範囲ですね。

 

竹は
晩秋から1月末ごろにかけて、
職人が1本ずつ
見極めながら伐り、
山から運び出します。

その様子は、
2026年3月に出た
3分ほどのショートで
見ることができます。

 

 

このショートは
2026年11月8日時点で
55万回あまり
再生されていて、
チャンネルのショートでは
いちばん多い数字です。

 

しゃかいか!によると、
山から下ろした竹は
油抜き、矯め直し、加工という
工程を経て製品になります。

高知家の◯◯によると、
油抜きには
700℃になる大型のガスバーナーを使い、
この作業で
青々とした竹に
虎皮のような模様が
はっきり表れるそうです。

あの模様は、
山で育つだけでは
仕上がらないわけですね。

 

しゃかいか!の記事には、
「まっすぐな竹は一本もない」
という四代目の言葉もありました。

熱で柔らかくなった竹を、
節ごとに押し曲げて
まっすぐに直していくのが
矯め直しです。

1984年夏、工場が燃えた夜

竹虎は、
もともと大阪の天王寺で
竹材商として始まった会社です。

 

第2次大戦で
天王寺の工場が焼け、
戦後に移ったのが、
初代が虎斑竹の仕入れに通い、
そこで妻を迎えた
安和でした。

 

その後、
高知家の◯◯によると
従業員60名以上を
抱えるまでになったものの、
3代目のころには
海外からの竹製品や
暮らしの変化で
業績にかげりが見え始めます。

 

そこへ追い打ちをかけたのが、
1984年(昭和59年)夏の火災でした。

本社と工場が全焼しています。

 

このとき
大阪の大学の4年生だった
山岸義浩さんは、
帰省中に
第一発見者になりました。

 

四国びとの
2018年1月の記事で、
山岸さんは
その夜をこう話しています。

 

「誰かが呼んでる声が
ずっと聞こえるんですよ。
その日は雨が降っていたんですけど、
傘もささずに
真っ暗な工場に行ったら
火事だったんです」。

 

しゃかいか!も、
この出来事を
「竹の声に導かれ」たと書き、
翌年に竹虎へ
入社したとしています。

 

同じ話を、
2026年7月には
竹虎のチャンネルが
9分あまりの動画にしています。

 

 

説明欄によると、
炎の前で
「竹虎は僕が立て直します。
任せてください。」
と口にした、
という話のようです。

42年たっても、
本人にとっては
原点の夜なのでしょう。

 

会社の公式サイトの
竹虎の歴史によると、
山岸さんが
代表取締役社長に就いたのは
2005年です。

ネット通販の最初の3年は「300円くらい」

入社したころの竹の業界を、
しゃかいか!は
「竹の問屋さんの1/3が
自主廃業する、
はっきり言って斜陽産業」
と書いています。

 

そこで山岸さんが
挑んだのが、
当時まだ始まったばかりの
インターネット通販でした。

 

四国びとで
山岸さんは
「ホームページを作ったのは
1997年です。
それしか活路がなかったんですよね」
と話しています。

 

ところが、
しゃかいか!によると
最初の3年の売り上げは
300円くらい。

写真もページも
自分で作りながら
続けたそうです。

「それしか活路がなかった」
という言葉に、
当時の切実さが
にじんでいますね。

 

概要欄の
「ウェブサイト構築するも大失敗」は、
この時期のことを
指しているのでしょうね。

 

光が見え始めたのは
2001年で、
ひと月で16万円を売り上げ、
その後
月商100万円を超える店に
育ったと、
しゃかいか!は書いています。

 

公式サイトにも、
2001年5月に
「虎斑竹専門店 竹虎」として
ネットでの営業を
本格的に始めたとあります。

 

「倒産の危機」が
いつのことだったのかは、
公式サイトの
四代目の紹介を読んでも
年までは書かれていません。

「大きな借入金の中、
会社の倒産も
時間の問題かと思われました」
とあるだけでした。

「ただ竹ですよって言っても誰も見ない」

山岸さんの話には、
竹を見てもらうための話が
何度も出てきます。

 

四国びとでは、
インターンに来た学生が
「青竹踏み」を知らなかったことに
ショックを受けた、
と話していました。

 

同じ答えの中で、
「ただ竹ですよって言っても
誰も見ないでしょ。
だから、見せる工夫です」。

 

2016年には、
電気自動車をもとに
虎竹で作った
「竹トラッカー」で、
安和から横浜まで
約1000キロを
11日間で走っています。

クラウドファンディングを使った
企画でした。

 

充電のために
コンビニに止まると
人が集まってきた、
とも山岸さんは話していて、
走ること自体が
竹を知ってもらう場に
なっていたようです。

 

これも山岸さんは
「全部情報発信ですよ」と言い、
竹細工は動かないけれど、
車なら
自分からお客さんの中へ行ける、
と説明しています。

 

高知家の◯◯によると、
第11回世界竹会議には
発表者として
日本人でただ1人招かれ、
基調講演をしています。

 

しゃかいか!の取材でも、
インターネットは
小さい人向きの道具で、
自分たち自身が
メディアになる必要がある、
と話していたそうです。

 

どの記事も
YouTubeには触れていませんが、
いまのチャンネルは、
この「見せる工夫」を
そのまま続けているようにも
見えますね。

2020年に3倍になった本数と、1時間の竹垣の動画

チャンネルが開かれたのは
2010年8月11日です。

 

その日のうちに
14本の動画が並び、
2010年だけで32本。

竹炭の木琴や
虎竹のヌンチャクなど、
32本のうち19本は
1分に満たない
短い動画でした。

 

それから
2019年までは、
年に5本から88本ほどでした。

 

変わったのは2020年です。

本数は
前の年の67本から
208本へ増え、
1月から12月まで
毎月11本以上が出ています。

 

通常の動画の尺の真ん中の値も、
2019年の1分から、
2020年は4分41秒に
伸びていました。

竹細工の工程を
長めに見せる動画が、
この年から増えたと
言えそうです。

 

チャンネルで
いちばん再生されているのも、
この年の6月に出た
1時間4分の動画です。

 

 

虎竹で
庭の「玉袖垣」を作る工程を、
竹枠の組み立てから
完成まで8つの章に分けて
見せています。

 

2026年11月8日時点で
349万回あまり再生されていて、
100万回を超えた動画は
この回と、
2019年12月の竹ざるの回の
2本だけです。

 

題名に
「竹チューバー」と入る動画は
449本あり、
そのうち396本が
2020年から2022年に
公開された動画でした。

 

ただ、
題名は後から付け直せるので、
いつから
「竹チューバー」を名乗ったのかまでは、
確かめられませんでした。

 

登録者については、
本人の動画の題名が
2020年2月に2,000人、
4月に3,000人の到達を
伝えています。

その後も、
2022年3月には4万人、
2023年9月には5万人を
超えたと報告しています。

ショートが増えた2025年から

最初のショートは
2021年9月に出ています。

 

ただ、
しばらくは通常の動画が中心で、
2024年までのショートは
年に5本から41本ほど。

 

それが2025年は、
255本のうち176本が
ショートになりました。

2026年も
11月7日までの293本のうち、
230本がショートです。

通常の動画とショートの割合が、
ここで入れ替わった
形ですね。

 

2025年11月1日から
2026年10月31日までの
1年間では、
330本の動画が出ていて、
動画のあった日は
365日のうち295日でした。

 

ショートの中身も、
竹林からの山出しや
籠の手直し、
鬼おろしの洗い方など、
竹を扱う日々の仕事が
中心のようです。

 

それでも
再生回数の合計で見ると、
2026年11月8日時点で
86.6%は通常の動画の分でした。

長い動画の積み重ねが、
いまも
チャンネルの土台になっている
と言えそうです。

 

登録者は
2026年2月に
10万人を超えたことを
動画で報告していて、
11月8日時点では
11.2万人です。

 

売り上げ300円くらいから
始まったネット通販と、
1,787本の動画。

「見せる工夫」を
続けてきた竹屋の発信は、
これからも
安和の竹林から
届き続けるのでしょう。

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