
「Dogen」という名前を見て、
鎌倉時代の禅僧を
思い浮かべた方も
多いかもしれませんね。
今回の主役は、
その道元ではなく、
日本語の発音を教えている
アメリカ人のYouTuberです。
英語圏の学習者が
どんなところで
日本語につまずくのかが、
この人の動画を見ると
よく分かるはずです。
本人の動画と公式サイト、
Patreon、寄稿やインタビューを
もとにたどっていきます。
Dogenのプロフィール
名前:Dogen(Dōgen)
出身:アメリカのシアトル
拠点:大分県別府市
活動:日本語のコメディ動画、
発音講座の制作
YouTube開設:2006年
所属事務所:確認できず
出身は
2024年のインタビューで
本人が話したもので、
別府は講座の公式サイトの
紹介文にあります。
2026年10月30日に
当サイトが測ったところ、
チャンネル登録者は
63.6万人、
総再生回数は
8,725万回あまりでした。
同じ日の時点で、
公開中の動画は482本です。
開設は2006年ですが、
公開中でいちばん古い動画は
2016年1月1日のもので、
本格的な活動は
ここからのようです。
チャンネルの概要欄は
「Japanese teacher」と
たった2語で、
その下に発音レッスンの
案内があるだけです。
禅僧の道元ではないと本人も言っている
紛らわしいのですが、
本人は動画のタグに
漢字で「道元」と
書くこともあります。
2016年7月の自己紹介動画は、
この名前を丸ごと
ネタにしていました。
自分は14世紀の生まれで、
有名な道元禅師ではなく
弟子の弟子の甥だ、
と話し始めます。
座禅を続けて悟りを開き、
その翌日に枝豆で命を落とし、
600年後に白人の体で
生まれ変わった、
という設定なのだとか。
もちろん冗談ですね。
ただ、名前と禅のつながりは
ネタだけでもないようで、
Patreonの支援プランの1つは
「Temple of Eternal Peace」
という名前です。
説明文には、
道元禅師が福井県に開いた
寺の名前だと
書き添えられています。
永平寺のことでしょうね。
活動名の由来を
本人がまじめに説明した発言は、
調べた範囲では
見つかりませんでした。
19歳で漢字から発音に切り替えた
日本語を学び始めた
大学時代の目標は、
ネイティブのような
発音だったそうです。
日本語学習サイトTofuguへの寄稿
(2017年)によると、
最初は図書館で
漢字と文法ばかり
勉強していました。
転機は言語学の授業です。
外国語の音を完全に
真似できる年齢には
限りがあるという説を知り、
調べ始めたときに
19歳だったと書いています。
そこから漢字と読解を離れ、
2年間は音声学に
集中したそうです。
今の話す力があるのは
この切り替えのおかげだと、
本人は強く
信じているようですね。
英語にはない「高低」のアクセント
Dogenさんが教えているのは、
日本人がふだん
意識せずに使っている
ものです。
たとえば同じ寄稿では
「山」を例にしています。
「や」が低く、「ま」が高く、
続く助詞が低くなる、
という形ですね。
英語が母語の人は
「yama」の音そのものは
簡単に言えても、
この高低には
気づかないのだといいます。
この説明を10分弱に
まとめたのが、
2020年1月の入門動画です。
英語は音の強さで、
日本語は音の高さで
アクセントが決まる、
というのが出発点です。
友人のThe Anime Manさんの
動画で触れられたのをきっかけに、
台本なしで話したもので、
2026年10月30日の時点で
約92万回見られています。
Patreonの講座「Japanese Phonetics」
発音講座の始まりは
2016年9月19日です。
第1回の動画の概要欄では、
「ネット上で決定版となる
話す日本語の案内」に
したいと書いていました。
Patreonのページも
同じ日に公開されています。
当時はまだフルタイムで働いていて、
第4回からを月10ドルの
Patreon限定にして、
将来の転職の土台にすると
動画で話していました。
寄稿の時点では18回まで進み、
全30〜35回の見込みでしたが、
Tofuguの2022年のレビューでは
80回を超えています。
そのレビューは、
英語が母語の学習者向けの
数少ない教材の1つで、
しかも最良の部類だと
評価していました。
2026年10月30日の
Patreonでは、
講座は月15ドルのプランに入り、
Natsumi先生による
月1回のZoomレッスンも
付きます。
2025年1月には、
録音の音の高さを
グラフで見ながら練習できる
「Emurse」というツールも
動画で発表しました。
「日本語はフラットです」で笑わせる
とはいえ、チャンネルで
いちばん見られているのは
講義ではなくコントです。
Patreonの自己紹介でも、
まず日本語のコメディを作り、
発音はPatreonで教えている、
という順番で書いています。
代表作の1つが、
2019年12月の
わずか39秒の動画です。
「日本語はフラットです」と
言う先生が、
学生のアクセントを
直し続けるという内容で、
先ほどの話を知っていると
笑えるつくりですね。
2026年10月30日の時点で
約325万回です。
同じ日の測定で
最も多いのは、
日本の銀行の手数料をネタにした
「Japanese Banks」で、
572万回あまりでした。
コメディの原点は
大学の創作の授業にあります。
先のインタビューによると、
教授たちから
「書くのはひどく下手だが、
コメディだけは別だ」
と言われたそうです。
2016年3月の動画では、
YouTubeの前は
日本語で文章を書いていて、
それが動画の脚本に
なったと話していました。
大学を辞めてYouTube専業へ
Dogenさんは、
別府の立命館アジア太平洋大学
(APU)に勤めていました。
2019年2月の動画で、
翌月末に仕事を辞めて
YouTubeに専念すると発表します。
4月の動画では、
退職前の数か月は
育児休業中だったことと、
在留資格の変更や
年金の手続きに
追われていることを話しています。
外国人が独立するときの
現実が見えて、
興味深いところです。
2021年には、
同じ大学に勤めていた
JPさんを雇ったと
動画で紹介しました。
2022年5月には
日本に家を建てたことを
動画で公開し、
概要欄には、夢の家どころか
日本に家を建てるとは
思ってもいなかったと
書いています。
同じく日本で
コメディを作る
Mr. Yabatanさんとは、
2024年に2人で
アメリカのイベントに
初登場しました。
2人のつながりは、
その6、7年前にDogenさんから
声をかけたのが始まりで、
相手には半年ほど
無視されたそうです。
自分では教えなかった文法の講座
長く「文法も教えてほしい」と
言われながら、
本人は手を付けてきませんでした。
文法や語彙は
母語話者の日本語から
学ぶのがよい、
という考えがあったからです。
答えになったのが、
2025年12月に発表した
Lofi Japaneseでした。
広島の制作チームから、
出演せずに監督を
してみないかと誘われ、
約2年半かけて
作ったそうです。
講師役は、100人を超える
応募者から選ばれた
Karenさんです。
全30回、1回30〜40分で、
説明はすべて日本語、
英語字幕の有無を選べます。
例文にはDogenさんの
コントのせりふが使われています。
価格は2026年10月30日の
公式サイトで299ドル、
買い切りでした。
外国人が日本語で書いた
コントのせりふを、
日本語の母語話者が
教材にして世界の学習者に
届けるわけです。
少し不思議な循環ですよね。
本名や家族のこと、最近の動画
本名については、
2016年7月の自己紹介動画の
設定の中で「ケビン」という
名前をつけられたと話しています。
冗談に聞こえますが、
日本語の随筆や小説は
「オドネル・ケビン」の名義で
出していて、
2013年の著書の紹介文でも
そう名乗っています。
2016年3月の動画の概要欄にも
著者ページへのリンクがあり、
2019年のThe Japan Timesの
記事もKevin O'Donnellとして
紹介していました。
年齢は、2016年7月の
自己紹介動画で、その時点で
28歳と答えています。
14世紀生まれと話したのと
同じ動画ですが、
著者紹介の1987年生まれとも
合うので、
こちらは本当のようですね。
Lofi Japaneseの発表動画では、
奥さんとお子さんの
世話にも触れていました。
ただ2024年のインタビューでは、
家族の写真や情報は
ネットに出していないと話し、
コメディと創作で
知られたいと語っています。
最近は発音のコントのほか、
日本の外国人を巡る話題を
扱う長い動画も出しています。
2025年11月の
「On the Rise of
Anti-Foreigner
Sentiment in Japan」は、
2026年10月30日の時点で
51万回あまりです。
同じ日の測定で、
最新の動画は
2026年10月6日の
「Japanese vowels
are easy」でした。
「えい」は「えー」になると
教えた先生が、学生に
例外を次々に突かれるコントで、
発音の話はやはり
この人の原点のようです。
日本在住の英語圏の発信者では、
クリス・ブロードさんの
記事もあります。




















