
言葉の説明がほとんど無いまま、
一枚の板が少しずつ
テーブルや椅子になっていく。
そんな家具作りの動画を
見かけた人もいるのでは
ないでしょうか。
YouTubeチャンネル
「ISHITANI FURNITURE」
(イシタニファーニチャー)は、
説明欄に「注文家具工房の日々。」
と書いている小さな工房です。
動画はほぼ無言ですが、
工房の
ブログには
撮影する側の言葉が
たくさん残っています。
「二人で黙々と作ります。
いや、耳を澄ますと、石谷は
何かブツブツと言っています。」
2024年8月の投稿の一節です。
カッコの中には
「木目がどうのとか。
ひとつ作り直しとか。
納期がどうのとか。」と
続いていました。
画面の向こうの静けさとは
少し違う工房の姿が
見えてきますね。
作っているのは石谷さん、撮っているのはChieさん
動画の概要欄には、
毎回同じ形のクレジットが
載っています。
「furniture maker :
Natsuki Ishitani」、
「video & posting : Chie」。
家具を作るのが
Natsuki Ishitaniさんで、
撮影と投稿を受け持つのが
Chieさんという分担です。
工房のブログも
CHIEの名前で書かれています。
ブログでは、家具を作る人を
「石谷」と呼んでいます。
2025年2月の投稿には
「石谷作の木製ドア」、
2022年12月の投稿には
「木箱も石谷製。」とありました。
名前の漢字を
「夏樹」とする記事や、
2人を夫婦として紹介する
記事もあります。
英語の木工サイト
Machine Atlasは、
「filmed by his wife Chie」
(妻のChieさんが撮影)と
書いています。
ただ、当サイトが
2026年10月31日に読んだ
工房のブログ117本と
動画の概要欄には、
「夏樹」の漢字も
「妻」「夫婦」という言葉も
出てきませんでした。
ここは紹介記事の側の
書き方として読んでおくのが
よさそうですね。
経歴はシステムエンジニアから?
経歴について書いた記事は、
当サイトが探した範囲では
1本だけでした。
転職支援会社
リージョナルキャリア岡山の
スタッフがブログで
2021年に書いたものです。
その記事は、大学を出て
システムエンジニアとして
8年勤めたあと、
職業訓練校で木工を学び、
独立したと紹介しています。
これは書き手が
ファンとして紹介した文章で、
工房自身の発信では
確かめられませんでした。
独立した年も
分かっていません。
一方で、
2024年8月の投稿には
「石谷の師匠の、
更に師匠の使っていたもの」を
参考に道具を作ったとあります。
誰かに師事して
技を受け継いできたことは、
工房の言葉からも
読み取れるようです。
チャンネルの規模(2026年10月31日測定)
当サイトがYouTubeのAPIで
2026年10月31日に測った
登録者数は61万2000人でした。
APIは登録者数を
上から3桁に丸めて返すので、
細かい数ではありません。
同じ日の総再生回数は
4428万1463回、
チャンネルの開設は
2016年5月21日です。
説明欄は英語の
「The days of a made-to-order
furniture maker.」から
始まっています。
言葉に頼らない動画なので、
海外の視聴者にも
届きやすいのでしょうね。
実際、韓国の
ソウル新聞は
2023年8月の記事で、
伝統的な組み手の技法で
家具を作る姿を見ていると
癒やされると紹介しています。
工房のブログによると、
2018年にはドイツの
建築・インテリア誌
「AD」のハンドクラフト特集で
小さな記事として
紹介されたそうです。
40年以上前の機械と「Hitachi green」
折りたたみ椅子の動画の
概要欄には、
工房の機械について
こんな一文がありました。
「大型の木工機械は全て
中古機械です。40年以上前に
製造されたものが多く、
状態の良いものはなかなか
手に入りにくくなってしまいました。」
2024年4月に公開された
この動画の椅子は、
フレームがブラックチェリーの木、
座面は丈夫な6号帆布です。
木工の専門誌
Fine Woodworkingの
2022年8月18日の記事も、
この機械に目を留めていました。
工房をOSB合板張りの部屋に
大きな道具が並んだ場所と描き、
色あせた「Hitachi green」の
大きな機械を見て、夢は
これでできていたのかと
書いています。
同じ記事が何より
惹かれると書いたのは音でした。
ノミを叩く音も、
合板の底板が
はまる音も素晴らしい、と。
無言の動画だからこそ、
音がよく届くのかもしれません。
古い道具を迎える話は
ブログにもあります。
2023年4月の投稿では、
「1974年に作られた
愛知電機工作所の
卓上グラインダー」を
工房に迎えたと書いています。
釘もネジも使わない木組み
2023年8月の
檜の木組みベッドは、
建物の柱や梁に使われる
「腰掛け蟻継ぎ」という
組み手で作られています。
ブログには
「接着材も釘もネジも
使わずに組み立てて」いても
がっちり丈夫だとあり、
こう続きます。
「職人は皆、沢山の失敗を
経験して、その記憶を
手に刻んでいるのだと思います。」
作る人を一番近くで
撮ってきた人の言葉ですね。
2024年6月の投稿では、
クルミの木を鉄媒染で
黒く染めたキャビネットを
紹介しています。
染液の材料は、錆びた鉄釘や
スチールウールと、
食酢だけだったそうです。
その古釘は
「近所の大工さんに
もらいました」とのこと。
食酢は、前の日に
甘酢あんかけを作った
家のお酢だったそうです。
2026年6月に公開した
二柱(ふたはしら)テーブルは、
チェリーの木で作った
幅180cm、奥行き100cmの
大きなテーブルです。
ブログは
「2本の立木が並んでいるような
シンプルなデザインですが、
加工はとても難しいです。」
と書いています。
天板の反りは吸い付き桟で
抑えているそうです。
武道館のお店から母の家の玄関まで
注文家具の行き先も
さまざまです。
2025年11月の投稿では、
日本武道館に併設の
「SOBA CAFE IKEMORI」の
テーブル天板を作っています。
天板は
ブラックウォルナットの木で、
同じお店の赤坂店にも
家具や什器を
納めているそうです。
2025年2月の投稿では、
母の家の玄関ドアを
栗の木で作ったと書いています。
家が古く、既製品のドアが
付かないため、近所の
建具屋さんに断られたそうです。
2022年12月の投稿では、
家具を2点海外へ送った話が
書かれていて、梱包の木箱も
石谷さんの手製でした。
「家具職人だから
こうゆうのは得意です。」
という一言が添えられています。
2023年9月の投稿では、
家具製作に力を入れるため
小物の製作と卸販売を
中止していると書いています。
その中で、カリモク60の
新店舗用のポスターフレームは
特別に作ったそうです。
同じ年の7月には、
「家具は消耗品ではなく、
長く永く存在しうるもの。」
とも書いていました。
工房の考え方が
よく出ている一文ですね。
寒冷地の工房と犬のシロ
工房がある場所について、
ブログは「当工房は
寒冷地にあるため」や
「避暑地にある当工房」
という書き方をしています。
寒冷地なので、工房のドアの
ガラスを二重にしていたものの、
内側が曇るので
一重に作り変えた、という
2024年12月の話もありました。
なお公式サイトは、
納期に支障が出るとして
工房見学を断っていて、
敷地内への無断立ち入りも
控えるよう案内しています。
動画でときどき聞こえる
犬の声は、シロです。
「ビデオの中で、時々犬(シロ)が
鳴いているのは、ドアを
開けてほしいからです。」
と2023年12月に書かれていました。
2026年1月の
「走馬灯」という投稿は、
ビデオ担当が
しばらく家具職人に戻って、
椅子作りに加わった話です。
ところが穴の位置が
1か所ずれてしまい、
「私(ビデオ担当)のミスです。」
と書いています。
その椅子は売り物に
できなくなりました。
それでも、息子さんが
「この椅子はもらってあげる」と
言ってくれたので
「成仏できそうです」と
締めくくっていました。
思わず笑ってしまう話ですね。
メンバーシップと2026年10月の様子
2023年11月には
チャンネルメンバーシップが
始まりました。
過去の家具作りの解説や
工房紹介、木工道具の
使い方などを配信すると
案内しています。
ブログによると、
開始から1年で23本、
2年で37本の動画を
メンバー向けに作ってきました。
2024年と2025年の12月には、
そのうち1本を1週間だけ
一般公開しています。
2026年10月31日に
確認したところ、
一般公開の動画は
2026年6月が最新でした。
ただ、メンバー限定の動画は
同年10月まで続いています。
公式サイトの
おしらせも、
2026年10月23日付で
「現在製作が立て込んで
おりまして」と書き、
新規のお客様の注文は
受けていないと案内しています。
一般公開の動画の間隔が
空くのは初めてではなく、
2025年9月の投稿にも
「ずいぶん久しぶりの
ビデオ公開になって
しまいました。」とありました。
気になる家具の価格は、
当サイトが見た公式サイトの
ページには載っておらず、
確認できませんでした。
オンラインショップも
「現在、在庫がありません。」
という表示でした。
お問い合わせのページには、
感想や質問に個別には
返信できないとも
書かれています。
一般公開の動画は
6月から間が空いていますが、
10月の時点でも
工房は注文の家具で
手いっぱいのようです。




















