
語りも音楽も入らない
散歩の動画を中心に、
あわせて1億回を超えて
再生されているチャンネルが
あると聞いたら、
少し驚くかもしれません。
今回の
Rambalac(ランバラック)は、
日本の街や山道を歩いて
撮った映像を、
手を加えすぎずに
公開しているチャンネルです。
2021年の取材で
いちばんよく聞かれる質問を
尋ねられたときには、
「What game is this?」
(これは何のゲーム?)
という一言も挙げていました。
撮影の決まりごとや
機材の移り変わりを、
本人の説明欄と取材記事から
たどってみました。
数字は断りがなければ
2026年10月30日の測定です。
Rambalacのプロフィール!
まずは
YouTubeのチャンネル
の概要欄です。
英語で書かれていて、
書き出しは
「My rambling
all over Japan.」
の一文でした。
日本じゅうを
ぶらぶら歩いています、
といった意味ですね。
Xの紹介文も
「Just rambling over
Japan」とほぼ同じ言い回しです。
チャンネルの国の設定は
日本で、開設は
2007年1月8日です。
登録者は62.7万人、
動画は1,533本、
総再生回数は
1億1,153万回ほどでした。
概要欄には、
InstagramとFacebookは
使っていないので、
そこにあるものは自分とは
無関係だとも書かれています。
同じ名前を見かけても
本人のものではない、
ということになりますね。
写真では足りなかった
始まりは動画ではなく
写真だったようです。
2021年に米国の
Milwaukee
Independent
の質問に文書で答えた際、
最初のカメラは
パナソニックのLumix TZ7で、
写真を撮り始めたと
振り返っています。
ただ、写真は写せる範囲が
限られていて、
場所の複雑な見え方まで
とらえるには足りないと
感じ続けていたそうです。
一方で当時の動画は、
電動のジンバルが高く、
ステディカムは大きく重くて
準備にも時間がかかりました。
公開中でいちばん古いのは
2007年1月の
「Gradient
Transparency
Windows」という
1分41秒の動画です。
題名を見るかぎり、
散歩とは関係がなさそうですね。
2014年4月の
「Lumix GH4 quick
afterpurchase test -
7」はわずか12秒でした。
本人も、それ以前は
カメラのテスト動画を
撮っていたと話しています。
2016年の「最初のまともな散歩」
転機は2016年4月25日に
公開した、この37分の動画です。
題名の末尾には
「the first proper
walk」と書かれています。
説明欄によると、
多摩川から新百合ヶ丘までを、
ジンバルのBeholder DS-1の
テストを兼ねて
普通の速さで歩いたものです。
本人の回答では、
それまで動画の流入は
ほとんど無かったのに、
数日で驚くほどの再生と
コメントが集まったそうです。
ここから動画は
どんどん長くなっていきます。
尺の中央値は
2015年の2.9分が、
2016年に17分、
2018年に56分、
2026年は10月30日までで
77.5分になりました。
この動画より前の公開分は
531本で、この動画を含む
以後の分が1,002本です。
以後の分の尺を足すと
約1,034時間ありました。
散歩以外の動画も
混ざっていますが、
ずっと再生し続けても
43日かかる計算になります。
語らない理由は「詳しくないから」
Patreonの紹介文では、
散歩を撮り始めた理由を、
楽しみのためで、
外に出る口実にもなるから、
と書いています。
話すのは目の前の相手と
やりとりするときだけ。
編集は最小限で、
効果音も入れないのが
本人の好みです。
顔を映さないのも
意図してのことだそうです。
それがなぜか予想以上に
広まった、とも添えていました。
語らない理由は、
先の取材で答えています。
旅のVlogは撮る人自身の話に
なりがちで、
それが好きではなかったこと。
さらに、よく知らない場所に
ついて何を話せるのか、
と続けています。
結局は自分も
検索して調べることになるので、
Wikipediaを読み上げるような
語りは自分には
ばかばかしく思えた、
という理屈です。
かなり正直な答えですね。
説明欄の定型句にも
この考え方が出ています。
2016年10月からの354本は
「Not a vlog」と掲げ、
2023年11月からの203本には
「natural surround
sound only」と
書かれていました。
2019年に紹介した
Global Voicesの記事も、
背景音楽と解説が無いことを
特徴に挙げていました。
聞こえてくるのは、
その場の音だけということに
なりそうです。
いちばん見られているのは夜の森
再生回数の1位は
2018年4月公開の、
夜の青木ヶ原を歩いた
45分の動画です。
737万回ほど再生されていて、
2021年の取材時点の
424万回から、さらに
伸びているのが分かります。
人気の理由を聞かれた本人は、
「Why? Not sure.」と
首をひねっています。
夜に撮った人がいたとしても
画質が悪くて短かったのでは、
というのが本人の見立てです。
説明欄によると、
近くのキャンプ場から
温泉へ向かう途中に
歩いたものでした。
怖い評判がある場所の
誤解を解きたかった、
とも書かれています。
その夜いちばん怖かったのは、
シカを驚かせた自分だった、
という一文は笑ってしまいます。
静かすぎて、自分の荒い息が
マイクに入ったことを
わびているのも、
この人らしいところでしょうね。
2位の700万回ほどの動画は、
昼から雨の夜まで
東京を歩いたものです。
こちらは、目白のあたりを
歩いてほしいと頼まれて
出かけた回でした。
視聴者に教わった行き先
頼まれて歩いた回は
ほかにもあります。
2019年の岐阜県の郡上の回で、
本人は、訪ねた場所の多くは
視聴者から教わったもので、
それまで何も
知らなかったと書いていました。
2022年公開の次の動画は、
本人の動画と村上春樹さんの
ファンから頼まれて、
「ノルウェイの森」の道筋を
たどったものです。
四ツ谷駅から歩き始めて、
駒込までの2時間32分でした。
Patreonに登録した理由も
ここにつながっています。
頼まれた場所でも、
強い個人的な理由が無いと
遠くまでは行けないので、
地方を歩けるようにしたい、
と紹介文にありました。
動画の中の楽しみとしては、
説明欄の章立てが
面白いところです。
「Tea time」の章がある動画は
233本、猫の章がある動画は
124本ありました。
最新の動画には、
救急車のため
お茶の時間はなし、
という章まで付いています。
目を留めるのは
変わった自動販売機や
古い家、珍しい車だそうで、
歩く人の好みが見えてきますね。
GH4からFX3へ、そしてドローンの墜落
概要欄の機材表には、
カメラのソニーFX3、
レンズのPZ 1635G、
ジンバルのDJI RS4と並び、
設定まで4K 60pと
書かれています。
説明欄をさかのぼると、
カメラは2012年末にはGH3で、
2014年からGH4、
2017年からGH5を経て、
2021年3月にFX3へ
移っていました。
ジンバルも主にBeholderから
DJIのRS2、RS3、RS4へ
替わっています。
マイクは少し事情が違います。
概要欄はソニーのECM-M1ですが、
2025年9月7日公開分からの
71本の説明欄は、すべて
Audio-Technicaの
AT9946CMでした。
2023年8月には2本を比べる
テスト動画も出しています。
その後の説明欄には
ソニーが137本並びますが、
2025年9月に切り替わった
理由は書かれていませんでした。
機材の話で痛かったのは
2024年12月の動画です。
神奈川県の秦野で飛ばした
ドローンが帰り道に細い枝へ
当たり、数メートル下の岩に
落ちて修理不能になりました。
題名には「RIP Mavic」とあり、
東北を撮るために
Ko-fiで資金を募ったと
説明欄に書いています。
2025年3月の題名には
また「flying」が出てくるので、
空からの撮影は
続いているようです。
歩く人の絵文字のあとに
距離が書かれるのは
2021年5月からで、
数字のある305本だけを足すと
約1,546キロでした。
それより前の動画や、
数字の無い回は含みません。
気温の記載は365本あって、
低いほうは秋田の氷点下5度、
高いほうは2025年9月の
35度です。
週1本ほどの公開と、もうひとつのライブ
公開はこのところ週1本ほどです。
直近16本は、どれも土曜か
日曜の夜9時台でした。
2025年は79本で、
2026年は10月30日までで
49本が出ています。
もうひとつの場所が
Rambalac Liveです。
登録者2.01万人、動画184本で、
概要欄には、配信は
すべて4K 60pで録画して
本編に上げるとあります。
たとえば2026年10月10日の
午後3時50分に
始まった埼玉の配信があり、
10月24日公開の本編の説明欄は
同じ日の午後3時59分と
記していました。
同じ散歩を配信と本編の
両方で見せているようですね。
2021年の本人は、
話さないなら配信は
意味がなさそうだと
答えていました。
それでも2026年は
10月25日までほぼ毎週、
配信が続いています。
集まる人の数も見ておくと、
Patreonの無料メンバーは
215人、
Ko-fiは93人、
Discordの参加者は
2,863人でした。
Patreonの紹介文の
「思った以上に広まった」は
まだ続いているのでしょうね。
先のMilwaukee
Independentの
筆者のLee Matzさんは、
2020年12月からの93日で
1,000マイルを室内の
ランニングマシンで歩きました。
その間に見ていた動画の中心が
Rambalacさんだったそうです。
一緒に歩く動画という
使われ方もあるのでしょうね。
Rambalacさんの教訓は
「悪い靴はどんな痛みも
引き起こす」で、撮ってみたい
場所は廃遊園地や古い鉱山、
軍艦島だと話していました。





















