タイへの転勤を断って、料理動画を選んだ。福井の会社員だったケンティー健人さんと、テロップを外した動画
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17年勤めた会社から、
ある日タイへの転勤を命じられる。
受ければ、動画を投稿する時間は
なくなることが分かっている。

 

料理クリエイターの
ケンティー健人さんが
実際に立った分かれ道です。
本人はこれを断って、
2022年5月に会社を辞めました。

 

料理を始めたのは、
その2年ほど前のことでした。
それまでは料理も動画も
未経験だったといいます。

 

今回は、本人が答えた
インタビューや、
TikTokとスクールウィズの発表、
YouTubeの全動画の題名を
調べてみました。

 

YouTubeの数字は2026年11月1日の
時点で、当サイトが
YouTubeのAPIで測った値です。
動画そのものは視聴しておらず、
内容は題名と説明欄、
自動字幕で確かめています。

ケンティー健人さんとは?出身や本名は

ケンティー健人さんは、
料理の動画をTikTokや
YouTubeに出している
クリエイターです。

 

出身は福井県です。
2024年4月の
ENCOUNTのインタビューでは
「地元福井」と紹介され、
本人も「福井県に住んでいる」と
話しています。

 

年齢は、2022年7月の
マイナビニュースの取材の時点で
35歳と紹介されています。
誕生日までは
確かめられませんでした。

 

本名も、本人が語った記述を
見つけられませんでした。
少し肩透かしかもしれません。

 

2026年8月20日に更新された
事務所の公式ページの時点で、
所属は動画クリエイター事務所の
PPP STUDIOでした。
マイナビニュースによると、
2021年9月からの所属でした。

 

YouTubeのチャンネル名は
「kenty_cook」です。
登録者は2026年11月1日の時点で
419万人、
総再生は約25億7,252万回でした。

 

チャンネルの開設自体は
2018年10月です。
ただ、公開されている動画で
いちばん古いのは
2022年4月1日の
「Beef hot sandwich」
という動画で、
開設と投稿の始まりは
別のものと考えられます。

17年の会社員と、料理をしなかった33歳

ENCOUNTの記事によると、
子どものころは
とにかくよく食べる子で、
小学校の時代は肥満でした。
親戚には「将来お相撲さんやね」と
言われていたそうです。

 

一方で、もの作りが好きな
子どもでもありました。
小学校ではクラフトクラブで
プラモデルに熱中し、
高校はテキスタイルデザイン科に
進んでいます。

 

部活は中学が剣道部、
高校が弓道部です。
料理の動画からは
少し想像しにくい
経歴かもしれません。

 

卒業後は地元の
繊維工場に就職しました。
25歳で結婚して婿養子に入り、
結婚生活は9年で
離婚に至っています。

 

驚くのは、
ここまでの間に料理の経験が
ほとんど無かったことです。

 

クックパッドニュースの取材では、
ずっと実家で暮らし、
結婚後も奥さんの実家で
同居していたので、
料理をする機会がなかったと
話していました。

 

「33歳にしてようやく
一人暮らしをはじめる」
ことになり、
それをきっかけに
自炊を始めたそうです。

最初の投稿はダンス、最初の料理は親子丼

一人暮らしを始めたのと同時に、
2020年9月、
TikTokのアカウントを作りました。

 

ただ、最初に投稿したのは
料理ではありません。
当時はやっていた
ダンスの動画でした。
料理の人の始まりとしては
少し意外ですよね。

 

2024年1月の
Real Soundの取材では、
「まったくバズらず」と
振り返っています。

 

そこで「ジャンルはひとつに
絞ったほうがいい」という
動画を見て、
ちょうど始めていた
自炊の様子を投稿しました。
するとダンスより
少しだけ再生が増えたため、
料理に絞ったそうです。

 

料理の勉強は、
レシピ本を1冊買うところから
始まりました。
Hint-Potの取材では、
買ったレシピ本は
約30冊に上ると紹介されています。

 

マイナビニュースの2022年の記事では、
参考にしている人として
だれウマさん、山本ゆりさん、
リュウジさんの名前を
挙げていました。

 

レシピ本を見ながら
最初に作った料理は親子丼です。
休みの日や部活の帰りに、
おばあさんがよく作ってくれた
いちばんの思い出の味でした。

 

本人はENCOUNTの取材で、
おばあさんのような
甘い味には
ならなかったけれど、
十分おいしく作れたと
話しています。

 

YouTubeには2024年3月に
親子丼の動画が出ていました。
説明欄が空なので、
この味を再現した回かどうかまでは
分かりません。

おでんの動画と、テロップを外すという判断

最初の転機は
2021年10月6日に投稿した、
198円のおでんを
チューハイと楽しむ動画でした。

 

Real Soundの取材によると、
当時のフォロワーは14万人ほどで、
この動画が海外の視聴者を中心に
爆発的に再生されたそうです。

 

ここから、海外の人を意識した
動画づくりが始まりました。

 

2024年1月の取材で本人が
挙げた工夫のひとつが、
テロップをつけないことです。
本人はこう説明しています。

 

「日本語や英語で記載しても
ほかの言語圏の方には
結局伝わらないので、
映像だけで完結する動画に
しています」

 

ENCOUNTの記事は、
14万人のころに
所属事務所から声がかかり、
スタイルを一新したと
書いています。

 

日本語の文字をやめて、
手元だけの映像から
自撮りで顔を出す形に変え、
調味料は目分量にして
テンポを重視しました。

 

その結果は
本人の言葉で
「3か月ぐらいで、14万人から
一気に100万人まで」です。

 

同じ記事によると、
2024年4月の時点の
TikTokのフォロワー
530万人のうち、
日本人は約3割でした。
いちばん多かったのは
米国からのフォロワーです。

 

なお、この内訳は
TikTokのものです。
YouTubeの視聴者の国別の数字は
公開されておらず、
確かめられませんでした。

 

ENCOUNTは“脱日本語”の効果を
大きく書いています。
ただ、自撮りや目分量に変えたのも
同じ時期なので、
文字だけが理由とは
言えないでしょうね。

 

2022年のマイナビニュースの記事では、
服も、料理に目が行くように
派手ではないものを
選んでいると話していました。

タイへの転勤命令と、17年の区切り

動画が伸びても、
本人はしばらく
会社員を続けていました。

 

マイナビニュースによると、
独立の時期は
慎重に見極めるつもりだった
といいます。
それを動かしたのが、
会社からの
「タイへの転勤命令」です。

 

「これは人生の分岐点だな、
と思いました」

 

タイに赴任すれば
仕事は今まで以上に忙しくなり、
動画を投稿する時間は
なくなると分かっていた
といいます。

 

趣味としてではなく、
もっと動画制作で
挑戦したい。
そう考えて命令を断り、
2022年5月に
17年勤めた会社を退職しました。
高校を出てからずっと
働いてきた人にとって、
大きな決断だったでしょうね。

 

YouTubeで公開されている
最古の動画が2022年4月ですから、
YouTubeへの本格的な投稿は
退職とほとんど同じ時期に
始まったようです。

 

2022年5月2日の動画の説明欄には、
TikTokのフォロワーが
200万人に届いたことと、
「今はショート動画のみ」である
ことが書かれていました。

再生最多の巨大フランクフルトと「残り物」

公開されている動画で
いちばん再生されているのは、
2023年7月29日の
「Giant Frankfurt」です。
2026年11月1日の時点で
約2億2,239万回でした。

2位の動画は
同じ時点で約8,800万回なので、
1本だけ
抜きん出ていることになりますね。

 

上位を見ていて面白いのは、
「残り物」の動画です。
2026年11月1日の時点の4位は
約7,652万回の
「I love
leftover broth」、
8位は約5,667万回の
「I love leftovers」
でした。

 

残った汁や油で麺やご飯を
作る回が多いようで、
題名に「leftover」が入る動画は、
2026年11月1日の時点でも
このチャンネルの定番でした。
派手な料理よりも、
一人暮らしの台所らしい
話題かもしれません。

 

題名はほとんどが英語で、
説明欄が空の動画も
たくさんあります。
説明欄を使わない動画が多いのも、
映像で伝える作りと
通じるようです。

 

他のクリエイターとの
共演も多く見られます。
2023年4月29日には
シェフヒロさんと、
2025年1月14日には
Bayashi TVと
動画を出しています。
後者のチキンカツサンドの回は
2026年11月1日の時点で
約2,112万回でした。

2023年の受賞と、初めてのレシピ本

2023年は、
大きな出来事が続きました。

 

10月には、
綾鷹カフェの新スタッフに
名前が挙がっています。
同じ月の発表によると、一緒に
就任したのは
修一朗さんや
エミリンさんたちでした。

 

12月14日には
『TikTok Creator
Awards Japan 2023』が
開かれ、
「Creator of the Year」
に選ばれました。

 

TikTokの発表は、
年間の動画再生回数や
フォロワー獲得数、いいね数などを
総合的に評価して、
国内のクリエイターで
最もパフォーマンスが高い
アカウントだったと説明しています。

 

ところが本人は
ノミネートもされておらず、
応援する立場だと
思っていたそうです。
受賞を知ったときは
「えっ、なんで?」と
戸惑ったと話していました。
それだけ想定外の
受賞だったのでしょうね。

 

その6日後の12月20日には、
初めてのレシピ本
『ケンティー健人の世にもおいしい一人飯
レシピ初公開!
「レシピのほぼないレシピ」』を
光文社から出しました。

 

発売の発表に載った著者の言葉で、
本人は「僕が料理を始めたのは
たった3年前」と語り、
離婚して一人暮らしを始めたことが
きっかけだったと
書いています。

 

本人はHint-Potの取材で、
文字が少なく、
調理工程の写真が多い本だと
説明しています。
動画と同じ考え方を
本に持ち込んだのでしょうね。

2025年、バギオでの3か月の英語留学

2025年5月29日、
留学の支援を手がける
スクールウィズが、
英語留学のサポートを発表しました。

 

発表によると、留学を決めたのは
「もっと多くの人に
自分の言葉で想いを伝えたい」
という思いからでした。
フィリピンのあと、
欧米へも留学する予定と
書かれています。

 

文字を外して世界に広がった人が、
今度は言葉を学びに行く。
ここは、この人の話で
いちばん面白いところだと思います。

 

留学の場所は、
本人の動画の題名に出ていました。
2025年5月26日の動画の題名は
「バギオで3ヶ月の英語留学開始。
Pines International
Academy」です。

 

先頭に「提供:スクールウィズ」と
入っているので、
支援を受けた留学だと分かります。

 

8月20日の動画には
「3ヶ月間の留学終了」、
8月26日の動画には
「3ヶ月間の留学の結果」と
ありました。

この動画の自動字幕には、
「今まで1人で海外にも
行けなかったんですけれど」という
日本語の語りが残っています。

 

続けて、
1人で海外に行けるような
自信もついたと述べ、
「本当に行って良かった」と
話しています。
字幕に話者の表示は無いので、
文脈から本人の語りと見ています。
この語りは留学エージェントへの
相談を勧めて結ばれていて、
提供のついた動画でもあるので、
その点は割り引いて
読む必要があるでしょうね。

 

英語がどこまで上達したのかは、
自動字幕の精度もあって
確かめられませんでした。

 

バギオの題名の動画は
2025年8月まで続き、
9月からは
「My Australia Vlog
in Brisbane」など、
ブリスベンやシドニーの名前が
題名に入り始めます。

 

ただ、これが発表にあった
次の留学なのか、
ほかの滞在なのかは、
題名からは分かりませんでした。

2026年の投稿と、福井のこと

2026年11月1日の時点で、
最新の投稿は10月30日でした。
公開中の動画を見る限り、
2022年4月からこの日まで、
いちばん長くあいた間隔でも
約20日です。

 

2026年8月には、
ぬか漬けの動画が続いていました。
2026年4月2日の動画の題名には
「#福井」が付いていて、
2025年11月にも
「Yutori coffee
in Fukui」という
題名が見られます。

 

ENCOUNTの取材で語っていた
夢のひとつは、
地元福井の魅力を
世界に発信することでした。
福井の話題が
ときどき題名に戻ってくるのは、
その夢とつながっているのかもしれません。

 

福井に住んでいるという話は
2024年4月の時点のものです。
TikTokのフォロワーも、
確かめられた最新の値は
2025年5月の550万人でした。

 

おばあさんの親子丼は、
その2024年4月の記事でも
「まだ再現はできていない」と
紹介されていました。
世界中に見られる料理を
作るようになっても、
追いかけていた味は
福井の台所にあったようです。

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